震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

原発事故による風評被害(5)-紛争審査会の第2次指針-

Q:原子力損害賠償紛争審査会が5月31日に公表した第2次指針中に示されている風評被害に対する損害賠償の考え方を教えて下さい。

A:風評被害についても、相当因果関係があれば賠償の対象にするとしました。

 そして、その一般的な基準としては、「消費者又は取引先が、商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合」としています。

 

Q:本件事故と風評被害の相当因果関係は個々に判断されるのでしょうか。

A:一定の類型については、原則として本件事故と相当因果関係があるという立場をとりました。

 今回は現時点でその類型に該当すると判断できるものを農林漁業と観光業について具体的に提示しました。

 しかしそれらの類型以外のものについても、今後相当因果関係のあることが客観的な統計データ等によって立証された場合には賠償の対象になるとしました。

 

Q:農林漁業において原則的に相当因果関係が認められる類型とはどのようなものですか。

A:農林産物、畜産物、水産物については出荷制限指示という事実を重視しました。

 基本的には4月末までに、政府等による出荷制限指示等が出されたことのある区域で産出されたものについて相当因果関係を認めました。

 例えば、福島県及び近隣県ではホウレン草やカキナが出荷制限されましたが、一部の野菜に制限がかかった以上、これら以外の野菜についても放射能汚染の懸念が生じやすいと考えられることから、因果関係を認めることとしました。

 

Q:観光業についてはいかがですか。

A:ホテル・旅行業等の観光業については、福島県に営業の拠点がある観光業については相当因果関係を認めることにしました。

 宮城県のような福島近辺における観光業については、減収が生じた可能性を認めながらも、風評被害の実態が判明していないとし、引き続き市場動向等の調査・分析を行った上で今後検討することとしました。

 

Q:農林漁業よりも観光業の要件の方が厳しいように思うのですが。

A:観光業については、今回の東日本大震災自体による交通インフラの損壊や自粛ムードといった形での消費マインドの落ち込みによるキャンセル・予約控えも相当程度存在していると考えた結果だと思われます。

 

Q:今後の原子力損害賠償紛争審査会の活動予定はどのようになりますか。

A:これまでに、1次指針、2次指針を示してきましたが、これらは被害の一部を対象としたものです。

 今後は50名以上の専門委員による被害の実態調査を行い、7月末をめどとして、中間指針をまとめ、被害全体にわたる賠償の大枠を示す予定になっています。

 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)