震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

マンションの建替え

Q:青葉マンション管理組合の理事長をしている者です。

 当マンションは今回の地震により、建替えをしなければならないほどに損傷してしまいました。

 建替えに当たってはどのような手続が必要でしょうか。

A:区分所有者の頭数と議決権(専有部分の床面積によって決まります)の各5分の4以上の多数決があれば、建替えができます(建物の区分所有に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)62条1項)。

 なお、決議の内容や決議に至るまでの手続については、区分所有法に細かい定めがなされています。

 

Q:区分所有者の中には、決議に反対すると言っている人がいます。

 反対者は法律上どのように扱われるのでしょうか。

A:マンションの建替えに賛成した区分所有者等は、反対者に対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができます(区分所有法63条4項)。

 

Q:マンション建替えの決議をした場合、その後の建替えの手続はどのように行うのでしょうか。

A:自主再建方式、全部譲渡方式のほか、マンション建替法に基づく手続によることが考えられます。

 

Q:自主再建方式とはどのような手続でしょうか。

A:建替え参加者(決議に賛成した区分所有者など)が主体となって、建設会社等と契約し、被災マンションを取り壊し、新しいマンションを建てるという方法です。

 

Q:全部譲渡方式とはどのような手続でしょうか。

A:デベロッパー(開発・分譲業者)が、建替え参加者の持っている区分所有権、敷地措雄健をいったんすべて譲り受け、建物を取り壊して新たにマンションを建設し、改めて建替え参加者に新築マンションを分譲するというものです。

 

Q:マンション建替法に基づく手続とはどのようなものでしょうか。

A:建替え決議後に設立されるマンション建替組合が作成した権利変換計画案に基づいて権利変換が行われるというものです。

 ここでの権利変換とは、従前のマンションに関する区分所有権などの権利を、新しく建てられるマンションに関する権利に置き換えることをいいます。

 市街地開発事業においてよく用いられるものです。

 

Q:専有部分に抵当権を設定したり、専有部分を賃貸している区分所有者がいます。

 建替えの実行に当たり、抵当権者や賃借人はどうなるのでしょうか。

A:抵当権者や賃借人の同意がないと建物の取り壊しはできません。

 ただし、マンション建替法による建替えの場合には権利変換により抵当権・借家権を新たに建てたマンションに移行することができます。

 

Q:津波により完全にマンションが滅失してしまったような場合は、再建に当たってどのような手続が必要なのでしょうか。

A:民法の原則に従えば、土地の共有者全員の同意がなければ建物の再建はできません(民法251条)。

 もっとも、政令が指定する大規模な災害の場合には、敷地所有者等の議決権の5分の4以上の賛成があれば、建物の再建を行うことができます(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法2条1項、3条1項)。

 今回の震災の場合は、政令によって大規模な災害と指定される可能性が高いと思われます。

 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)