震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

震災に起因する倒産手続

Q:勤務先の工場が震災で大きな被害を受け、廃業することになってしまいました。

 私もやむをえず転職することにしましたが、すぐに給料は出ませんし、復旧資金で支出も多くなります。

 住宅ローンのほか、いくつか金融機関から借り入れがあるのですが、今は払えません。

 どうしたらよいでしょうか。

A:まずは住宅ローン等の取扱金融機関の窓口に相談してみてください。

 当然に認められるわけではありませんが、金融機関によって、金利の減免や支払の猶予に応じている場合があります。

 

Q:とりあえず相談してみたいと思います。

 しかし、再就職ということで給料はかなり安くなりそうで、従前どおり支払えるかどうか分かりません。できれば自宅は手放したくないのですが・・・。

A:今後の生活の見通しがはっきりしない状況で、最終的な決断をする必要はないと思います。

 今後収入の見込みがはっきりして、やはり従前どおり払うことが不可能であった場合には、裁判所で、住宅資金特別条項を利用した民事再生手続を利用するのも一つの方法だと思います。

 民事再生手続は、債務の減免や支払期限の猶予などを定めた再生計画を作成し、裁判所の認可を得たうえで、計画に従って債務を返済していく手続で、中小企業や個人事業者を念頭に置いて制度設計されたものですが、サラリーマン等でも利用できるように、小規模個人再生や給与所得者等再生という簡易化された手続きが用意されています。

 債務総額(住宅ローン債務等を除く)が5000万円以下であることは小規模個人再生と給与所得者等再生の共通した要件ですが、そのほかにも細かな要件があるので、実際に手続をとる場合には弁護士等の専門家に依頼することが必要です。

 

Q:実はその自宅も一部損壊してしまって、建てたときの施工業者に住み続けることができるか調査してもらっています。

 もし取り壊すしかないということになった場合、住宅ローンはどうなるのですか。

A:住宅ローンの対象となっている建物が全壊したとしても、基本的に住宅ローンの支払義務は消滅しません。

 今後、政府・金融機関が被災者を対象に何らかの救済措置を講じない限り、支払義務だけが残ってしまいます。

 この場合、自宅はないのにローンは払わなければならないという状態になってしまい、生活の立て直しが困難となることも考えられます。

 そのような場合には、裁判所で破産・免責手続をとることが必要になってくるかもしれません。

 破産手続とは、債務の返済が不可能となった場合に、債務者の財産を金銭化して、各債権者に配当する手続です。

 ただし、最低限生活に必要な財産は残すことが認められます。

 免責手続というのは、個人の債務者の場合に、財産の配当後に残った債務について、裁判所の許可により支払を免れさせる手続です。

 免責が許可されれば、税金等の一定の債務を除いては支払義務が免除されます。

 この破産・免責手続きについても、やはり弁護士等の専門家に依頼することが必要です。

 ただし、まだ生活が不安定な状況で急いで破産・免責手続をとる必要はないので、まずは金融機関等の債権者と相談しながら生活の立て直しを優先した方がよいと思います。

 

 (関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)