震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

がれき処理の問題

【自宅敷地内のがれきの処理】

Q:津波で家が倒壊したため、避難所生活を送っています。

 自宅の敷地にはがれきが山積みになっているようであり、復旧の支障となりそうです。

 なんとかならないのでしょうか。

A:災害対策基本法64条に基づいて自治体が撤去することが認められています。

 撤去の具体的な指針として、平成23年3月25日付環境大臣名で「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」が、関係各知事宛て通知されているところです。

 

Q:自治体の方が作業を行うために、承諾なしに私の敷地に立ち入ることはできるのですか。

 携帯電話を無くしており、事前に私に連絡するのは難しいかと思うのですが。

A:一時的な立ち入りは所有者等に対する連絡・承諾を得なくても差し支えないとされています。

 もっとも、可能な限りは事前に立ち入りを知りたいですよね。

 ですから、作業の対象地域・日程等の計画を事前に周知することが望ましいですね。

 避難所等で、事前の情報収集をされることをお勧めします。

 

Q:がれきは私の承諾なくして撤去されるのでしょうか。

A:建物が倒壊してがれき状態になっている場合には、所有者等対する連絡・承諾がなくても撤去して差し支えないものと考えられています。

 緊急性があること、がれきに基本的には価値が無く、復興の支障になることから認められたものです。

 

Q:倒壊によって、私の家のがれきが他の人の敷地に流出している可能性もあるのですが、

 その場合も私や敷地所有者の承諾なくして撤去されるのでしょうか。

A:前問と同様、撤去して差し支えないものとされています。

 

Q:敷地上にある建物が一定の原型をとどめており、完全ながれきの山とまではなっていない場合にも、私の承諾なくして撤去されるのでしょうか。

A:その場合は、所有者等の意向を確認するのが基本です。

 もっとも、所有者等に連絡が取れない場合や、倒壊等の危険がある場合には、土地家屋調査士等の専門家に判断を求め、建物の価値がないと認められたものについては、解体・撤去して差し支えないものとされています。

 

Q:建物に価値があるか否かの判断は、人によって異なるとも思えるのですが、まだ価値の残っている建物が勝手に処分されないか心配です。

A:おっしゃる通りですね。

 現状では復旧が最優先との考えから、細かい判断は現場の専門家に委ねられていますが、慎重な判断がなされることが望まれるところです。

 

Q:がれき扱いされた物が仮置き場に移された後の処理については、どうなるのでしょうか。

A:現段階では、指針はまだ定められていません。

 早急に方針が定められることが望まれるところです。

 

 

【思い出のネックレスの行方】

Q:倒壊した私の家には、妻の誕生日に買ったネックレスが置いてありました。

 敷地内にネックレスが残っていた場合には、がれきと一緒に撤去されてしまうのでしょうか。

 がれきと一緒に撤去されるのは悲しいです。

A:是非見つかると良いですね。

 貴金属その他の有価物及び倉庫等については、一時保管し、所有者等が判明する場合には所有者に連絡するよう努め、所有者等が引き渡しを求める場合は、引き渡すことになっています。

 ネックレスは貴金属類に当たるので、発見された場合には保管されている可能性があります。

 また、発見した自衛隊が保管し、住民に見られるようにしている場合もあるようです。

 

Q:仮に所有者が不明のままの場合は、どうなってしまうのでしょうか。

A:遺失物法により処理されることとなります。

 

Q:遺失物法による処理の流れを簡単に教えてください。

A:まず、警察署長が提出を受けた物件の種類及び特徴や拾得の日時場所を3か月間公告します(遺失物法7条1項・4項)。

 その間所有者が判明しない場合には、拾得者がその物の所有権を取得するか(民法240条)、

 警察署の属する都道府県に所有権が帰属することとなります(遺失物法36条、37条1項)。

 管轄の警察署に問い合わせをしてみるのも一つの手かと思われます。

 

Q:家には家族で撮った写真のアルバムが何冊かありました。

 敷地内にアルバムが残っていた場合には、がれきと一緒に撤去されてしまうのでしょうか。

 家族の思い出が詰まったものなので、やはり撤去されるのは悲しいです。

A:こちらも是非見つかると良いですね。

 位牌、アルバム等、所有者の個人にとって価値があると認められるものについては、

 作業の過程で発見され、容易に回収することができる場合には、別途保管し、所有者等に引き渡す機会を設けることが望ましいとされています。

 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)