震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

借家の修繕費用

Q:今回の地震により住んでいる借家が損壊しましたが、修理をすればなんとか住むことはできると思います。

 家主に修理をしてもらうことができますか。

A:賃貸人は、賃借物の使用及び収益に必要な修繕をなす義務を負うとされています(民法606条1項)。

 しかし、特約で賃貸人の修繕義務の範囲を制限している場合もあるので、まずは契約書の確認が必要です。

 

Q:契約書を見てみたところ、「借家の損壊については、すべて借家人が修繕する」という特約がありました。そうすると私が修理しないといけないのでしょうか。

A:一般的に、修繕費を借家人の負担とする特約自体は有効と解されています。

 もっとも、「すべて借家人が修繕する」として修繕義務の範囲が明示されていないような場合には、借家人が負担する修繕の範囲は、小修繕ないし通常生ずべき破損の修繕の範囲に限られるべきと考える立場が有力です。

 今回のような予想外の大規模な地震による損壊については、特約があったとしても借家人は修繕義務を負わないと考えるべきです。

 古い判例ですが、予想外の天災による修繕義務は賃借人に及ばないとしたものがあります(大判大10・9・26、大判昭15・3・6)。

 

Q:私が修繕義務を負わないということになると、やはり家主に修理をしてもらうことができるのですか。

A:おっしゃるとおり、そうなると先ほど述べた民法の原則に戻って賃貸人の修繕義務の問題となるわけですが、どんな場合にもこの修繕義務が生じるわけではなく、①必要な修繕であること、②修繕が可能であること、という2つの要件を満たす場合に生じるとされています。

 このうち、①修繕の必要性については、修繕しなければ賃借人が契約によって定まった目的に従って使用収益することができない状態になった場合に認められます。

 ②修繕の可能性については、物理的・技術的な面だけではなく、経済的な観点からも判断されます。

 経済的な観点というのは、例えば、修繕費用が新築費用に匹敵する程に高額になる場合や、賃料の安さに比して修繕費が過大にかかるような場合に、修繕可能性がないと考えることがあるということです。

 一般的にはこのように考えられていますが、具体的にどのように修繕するかは家主との協議によるところも多いので、まずは家主に相談してみて、そのうえで弁護士に相談してみるとよいと思います。

 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)