震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

給料の支払い(会社経営者からの相談)

Q:震災の影響で売掛金の回収が遅れるなどして資金繰りが悪化し、一時的に従業員に対する給与が支払えません。

A:本来、賃金は就業規則等にそって毎月決められた支払日に支払わなければなりません(労働基準法24条2項)。

 そして、これに違反した場合には、30万円以下の罰金に処せられます(同120条1号)。しかし、震災が原因で資金調達等の努力をしたにもかかわらず賃金を支払うことが出来ない場合には、不処罰となると考えられます。

 ただし、賃金を支払う義務を全く免れるものではありません。したがって、資金繰りがついた段階で、年6%の遅延損害金を付加して支払う義務があります。

 

Q:震災の影響で仕事が減少し、現在の給与水準のままでは雇用を維持できません。

 従業員の給料を下げることに問題はありませんか。

A:賃金は就業規則や賃金規定で定められていることが多く、賃金の引き下げにはそれらの変更が必要になります。

 賃金引き下げのような労働者に不利益な事項については、就業規則等を一方的に変更することは原則として許されません。しかし、その変更内容が「合理的」なものと認められる場合には、例外的に、個々の労働者の同意がなくても引き下げが可能です。

 ただし、「合理的」と認められるかどうかは、個々の事情に基づき判断されますので、労働基準監督署や弁護士、社会保険労務士などに相談することをおすすめします。

 なお、就業規則の変更の効力は遡りませんので、変更以前の賃金については従来の金額を支払う必要があります。

 

Q:数人の従業員が、震災による交通機関のマヒ等の影響により、欠勤しています。

 この欠勤している期間についても給料を支払う必要がありますか。

A:今回の震災のように、労働者・使用者のいずれの帰責事由なく、労働者が勤務できない場合には、労働者は賃金請求権を有しません(民法536条)。

 したがって、法律上の支払義務はありません。

 また、休業手当も「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合に支払われるものですので(労働基準法26条)、震災のような不可抗力による場合には支払うべき法律上の義務はありません。

 しかし、労働者と十分に協議し、積極的に有給休暇の取得を認める等、柔軟な対応が望まれます。

 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)