震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

境界の確定について

Q:津波で家のある街全体が消失してしまいました。私の土地も隣地との境界標の行方が全く判らなくなってしまったのです。

A:「境界」といっても公が決めているもの(公法上の境界)と私人間のもの(私法上の境界)があり、両者を区別することが必要です。

 2つの中で、所有権の範囲を画しているのは私法上の境界になります。

 

Q:今後新たに家を建てたり、塀を作ったりする場合に所有権の範囲が判らないのでは困ってしまいます。どのようにして境界を決めればよいのですか。

A:私法上の境界は所有権の範囲を画すると言いましたが、所有権は原則として個人が自由に処分することができますので当事者間の合意によって境界を決めることができるのです。

 従って隣地の方と立ち会って境界を確認することになります。隣地は複数あるでしょうから、全員が立ち会う必要が出てくると思われます。

 阪神・淡路大震災の際にも街の人がみんな集まって確認を行ったようです。

 

Q:街全体が消失してしまいましたので、目印のようなものが無い状態です。何を基にして境界を確認するのですか。

A:法務局に保存されている公図、分筆図、地積図などが参考になります。

 公道上の官民境界が残っていると復元する支点になります。

 

Q:私の町では幸い法務局の支局が残りましたので、早速それらの資料を取り寄せてみます。但し、不幸にも法務局の支局自体が津波で流されてしまい、資料が散失したところもあると聞いています。そのような場合にはどうなりますか。

A:法務局では地図をかなりの範囲で電子化していますので、その場合には保存されています。電子化されていない場合には、町役場にある各種の地図が参考になります。

 また国土地理院には航空写真が保存されており、パソコンで閲覧することも可能です。

 

Q:私人間の境界の決め方は解りましたが、公的な境界はどうなるのですか。

A:今回のような大震災において、津波で街全体が消失してしまうという状況では、私人間の境界を決めるについても行政が積極的にイニシアティブをとって対応することが望まれます。

 それによって現実的にも私人間の境界と公的な境界に乖離がなくなるのだと思います。

 

 (関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)