震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

手形決済ができない場合

Q:電子部品の製造を行う会社の社長をしています。

 振出した手形(3000万円)の決済日が2週間後に迫っているのですが、今回の震災のために取引先から売掛金の支払いがなく、決済資金の目途が立ちません。

 このままでは手形が不渡りとなって倒産してしまいます。何とかなりませんか。

A:手形法54条の規定に基づく「不渡処分の猶予」という特別措置があります。

 具体的には、銀行に地震のために決済資金が準備できなくなったことを届けて下さい。

 通常は不渡手形に「資金不足」という付箋が付けられて返されるのですが、上記の届出をした場合には、その付箋に「なお、3月11日の地震による」というなお書きが追加されます。

 これによって、不渡処分の前提となる「不渡報告」が猶予されます。もっとも、猶予の期間は1ヶ月程度と考えられますので、その間に決済資金を準備することが必要となります。

 

Q:今後、震災の影響を受けていない関西の納品先等から5000万円程度の回収が見込めるので、何とか準備できそうです。

 しかし、工場が地震で倒壊してしまったため、工場の再築資金や当座の運転資金として約5000万円が必要です。工場さえ再築できれば営業を継続できるのですが・・・。

A:再建の見込みがあり、そのための資金が準備できるのであれば、その資金は手形決済に回すのではなく工場の再築等に回すべきだと思います。

 今回は未曾有の大震災によるものですから、手形債権者が支払いの猶予をしてくれる可能性もあります。このとき、個別の債権者との交渉が必要となる場合も考えられます。

 そのような場合には、弁護士に相談して、きちんとした再建計画を作成するなどして進めた方がよいでしょう。

 

Q:一切猶予してくれない強硬な手形債権者がいたり、その他にも債権者が多数いたりといった場合には、倒産は避けられないでしょうか。

A:法的な手続きとして、民事再生手続をとることが考えられます。

 民事再生は裁判所に申立てて行いますが、これと同時に弁済禁止の保全処分の申立てを行うことによって、手形の不渡処分を回避することができます(いわゆる「0号不渡」)。

 民事再生手続では、会社の債務と資産を確定させたうえ、再生計画を提出します。

 再生計画の中身としては、例えば一定金額の債務免除を受けたうえで残額を数年間で分割払いするといったものが考えられます。

 この再生計画に債権者(頭数と議決権額双方)の過半数の同意が得られれば、基本的に再生計画に沿って手続が進行していくことになります。

 この民事再生手続を行う場合には、弁護士に依頼することが必須です。

 

 (関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)