震災法律相談Q&A

2011年3月11日に起きた地震や津波に遭われた方々の力になれればと思います(弁護士法人杜協同)

借地上の建物の流失

Q:借りた土地の上に家を建てて生活していたのですが、今回の地震による津波で家が流されてしまいました。

 契約書には、地震またはそれによる津波により建物が滅失した場合には借地権は消滅するという特約がありました。

 借地権はなくなってしまうのでしょうか。

A:借家の場合とは違って賃貸借の目的物(土地)がなくなるわけではないので、借地権は消滅しません。

 ご質問のような特約があった場合でも、原則として同様に考えて構いません。

 そのような特約は、借地法11条、借地借家法9条に基づき無効とされるためです(最判昭33・1・23)。

 ただし、借地権が一時使用目的の場合には、そのような特約も有効と解されていますので、その点だけは注意が必要です。

 

Q:安心しました。ただ、現在私は避難所で生活しているのですが、昨日借地を見に行ったら「売却物件」という看板が立ててありました。

 私はこの土地に再び建物を建てて生活したいと思っているのですが、このままにしておいてよいものでしょうか。

A:そのままにしておいてはいけません。

 借地権の対抗要件としては、一般的に借地上の建物の登記が利用されてきました(借地借家10条1項)。

 しかし、建物が消滅してしまうとこの建物の登記は無効な登記となり、対抗力もなくなってしまいます。

 したがって、今のままの状態で、第三者が当該土地を買い受けて所有権移転登記を完了すると、買受人に借地権を対抗できなくなってしまいます。

 このような事態を防ぐためには、借地人が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を、土地上の見やすい場所に掲示することが必要です(借地借家法10条2項)。

 この掲示による対抗力は建物の滅失から2年間認められますが、その間に建物を新たに建て、その建物の登記をしなければなりません。

 また、この掲示は継続的に行われていることが必要で、掲示が滅失すると原則として対抗力が失われるので、定期的にチェックして、滅失した場合には直ちに再掲示するなどの注意が必要です。

 参考までに、掲示の例を挙げておきます。
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   本件土地については、下記のとおり借地人が借地権を有し、建物を所有しておりましたが、

  平成23年3月11日の地震及びこれによる津波によって同建物が滅失しました。

   借地人は同日から2年以内に建物を再築する予定ですので、借地借家法10条2項に基づく

  掲示をします。

                      記

     1.土地の表示

     2.借地期間

     3.借地人の表示(住所・氏名)

     4.滅失した建物の表示(所在・家屋番号・種類・構造・床面積)

     5.建物が滅失した日

     6.本掲示設置日

     7.連絡先(電話番号)
                                         以上

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(2011.3.29掲載記事を一部改訂致しました。)
 

(関弁連編集の「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」(新日本法規)及び近弁連編集の「地震に伴う法律問題Q&A」(商事法務研究会)を基にして、解りやすく説明しました。)